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埋没法による二重の手術(重瞼術)の宿命的な欠点として、元に戻る(重瞼線が消失する)可能性があります。この可能性を低くする目的で、糸のかけ方、糸の本数、結び方等の異なる術式が多く報告され、現在なおコンセンサスが得られていません。 結膜側での埋没糸の通し方には、瞼板に通糸する瞼板固定法と眼瞼挙筋に通糸する挙筋固定法の二通りがあります。瞼板固定法は挙筋固定法に比較して、手術後の瞼の腫れが少なく、すぐに日常生活に復帰できるという長所があり、多くの美容外科医が現在愛用している方法です。しかし、瞼板固定法ではご質問にもありますように目の裏側に糸が来るという問題点があり、瞼板上に糸が露出しており、角膜損傷の危険があるということです。すなわち目脂が出たり、目がゴロゴロするという症状が生じるのです。糸は早ければ数日間のうちに結膜下に埋まってしまいますが、時として露出しっぱなしになっていることがあります。私個人の見解として、他の方法がないなら仕方ありませんが、眼科的に問題のある瞼板固定法での埋没法は行わないようにすべきです。瞼板固定法と挙筋固定法との中間の方法ともいえる瞼板上縁固定法で埋没法重瞼術を行うと瞼板上での糸の露出はなく、コンタクトレンズの装着に問題はありません。
(回答者:アネシス美容外科 院長 水野力)
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