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ホクロに見える物の中には、良性、悪性の腫瘍が有ります。悪性の疑いがあるホクロの時には、良性のホクロの場合とは治療方法が全く異なります。まず診察して臨床診断を正確に付ける事が大切です。ホクロは、色素性母斑という名前の皮膚の良性腫瘍です。多い少ないはありますが、ほとんどの人に見られる皮膚病変です。普通ホクロの存在を気にとめるようなことはありませんが、ホクロの数が増えたり、顔等の目立つ所のホクロが大きくなったりすると、美容的な意味で問題となります。皮膚科では、ホクロのなかには悪性のホクロがあることが問題となります。ホクロを治療する場合は、ホクロが良性か否か正確に診断すること、切除する場合にはできるだけ傷痕が残らないように治療するという配慮が大切になります。
ホクロには生まれつきのもの(黒あざ)と、生後2〜3才位からでき始め、10年〜20年かけて少しずつ大きく(直径)なったものとあります。20才以降にできたホクロ(直径が5mmを超える)の中には、悪性のホクロ(悪性黒色腫)が含まれているので注意する必要があります。実際に診察しないとはっきり言えませんが、悪性のホクロが疑われる場合はホクロの色調に白、灰、黒、赤等、色が多彩であること、ホクロと正常皮膚の境界がはっきりせず不整(凸凹)であること、ホクロから出血があること等があげられます。
ホクロに悪性化の疑いがある時には、周囲の正常皮膚を含め大きく切除、時には植皮する必要があります。ホクロの1部を切り取って調べるという検査は転移の可能性を高めるので禁忌です。ホクロを美容目的で切除する場合は、保険の適用になりませんので全額自費となります。医院によって料金が異なります。手術でも、レーザー治療でも1ヶ所3万円前後と思われます。保険で治療できると判断される場合は、数千円の費用で済みます。顔のホクロが多く気になっている様子ですので、まず皮膚科専門医の診察を
受け、個々のホクロの治療につき相談されるのが良いと思われます。
皮膚癌の早期発見、治療のために、年1度、専門医による皮膚の検診をお勧めします。
なお、ほくろの予防法は特にありませんが、幼少時から紫外線対策(サンスクリーン剤の外用)が大切です。
(回答者:表参道皮膚科 堀越貴志)
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