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豊胸手術のゴールというのが、手術後の乳房に、見た目にはしっかりと張ってちゃんとした形・大きさがあり、一方触れば柔らかい、という相反する性状を同時に持ち合わせていないといけないところが、難しい所です。さらに、患者さんの健康を害してはいけないという大原則もあります。これらの矛盾する性状を同時に実現する技術は、残念ながらまだこの世にはありません。厳しい言いかたをすれば、100%自然な乳房は絶対できません。
ハイドロジェルバッグというのはその内容に、『みずあめ』のようなものが使用されています。この内容物の性状(粘り気)により、食塩水バッグよりムニュっとした柔らかさを再現することが可能になりました。もう少し科学的にいうと、92%が水、8%が多糖類でできています。これはもしバッグが破損して、内容が体内に漏れ出ても、食塩水のようにすぐには吸収はされませんが、少しずつ分解されていきますので、安全性は高いのです。食塩水との比較で言えば、安全性では同等と思っていただいて良いでしょう。ただし、もし破損が起こった場合は、いくら安全とは言え、破れたものをずっと入れたままにしてしておけば、固くなったり、乳房の変形や感染の原因になりかねませんので、わかった時点で除去または再挿入されることをおすすめしています。
あなたのように、豊胸手術後に固さを気にされる方は、決して少なくありません。固さの要素としては、
1)手術前の乳房の性状(大きさ・形・柔らかさ)
2)使用したバッグの種類(バッグ自体・内容物)
3)手術した医師の技量
4)手術直後の治療内容
5)手術後のマッサージが適切にできたかどうか
6)患者さんの体質(バッグに対する拒絶反応の程度)
などが考えられます。
これらの要素は診察のときに、チェックさせていただき、再手術によって改善が可能かどうか判断させていただいております。
一度医師の診察をお受けになって下さい。
(回答者:聖心美容外科 飯尾礼美)
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