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薬物による歯牙の変色では、抗生物質の一種であるテトラサイクリンによる歯の変色が最もよく知られています。これは、永久歯が形成される時期、すなわち母親の妊娠中の6ヶ月頃から、生まれて8歳頃までの間に、感染症の治療薬として投与されたテトラサイクリンが歯冠部エナメル質等に沈着したために起こる変色です。そしてこの変色は、テトラサイクリンが投与された期間や量により、変色を起こす永久歯の種類や部分が異なり、また、色調も黄色から暗紫色まで様々な様相を呈することとなるようです。このように歯冠部形成時に、硬組織に集まりやすい薬剤(テトラサイクリンに限らず)の投与を受けた場合に歯牙の変色が起こるのです。従って子供の頃から薬を飲んでいたということですから、薬剤による変色の可能性も否定はできません。次に手を加えずに(歯を削らないでという意味でしょうか)白いきれいな歯にする方法についてですが、大きく分けて
1.ホームブリーチング
2.オフィスブリーチング
の2種類の方法が一般的です。1.についてですが、これは家庭内で患者自らが行う漂白法です。まず、患者自身のお口の中の型を取り、ナイトガード(マウスピースのようなもの)を作ります。それに歯科医師が処方した歯牙用漂白剤を入れて数十分から数時間、口の中にくわえておく方法です。このやり方は患者自身の時間の節約や自由な時間に行えるという利点がありますが、効果の発現が遅く、漂白に数ヶ月かかるという状態です。次に2.についてですが、この方法は医院内において、歯科医師の管理下で行います。まず漂白する歯をクリーニングし、院内専用の歯牙漂白剤を塗布します。その上で、漂白作用を高めるための光線をまんべんなく照射していきます。この漂白法で行うと、一週間に一度、それを3回から5回ほどで漂白が行えます。その他、レーザー漂白法とか神経のない歯のワィーキングブリーチング法といった漂白法があります。また、単なる歯牙表面の沈着物の除去のためならエアフローといった歯面清掃、しつこい歯面沈着にはウイスパーといったジェット噴射式歯面清掃により十分にクリーニングされ、本来の白さが蘇ります。
(回答者:聖心美容外科 山川雅之)
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