目は、骨でできた硬いソケットの中に、精密な器官を収めた形態をとっているため、眼窩内脂肪というショックアブソーバーが存在しているのです。年齢とともに重力の影響を受け、上まぶたの脂肪が下まぶたに移行し、それとともに皮膚も伸び切り、目の下のたるみとなって現われてくるのです。これを矯正するには、下まぶたの余分な脂肪を取り除き余った皮膚を切り取ることが最も安全な治療となるでしょう。手術は、下のまつげの生え際に沿って切開を入れ、皮膚をうすく剥離します。続いて目の下
の脂肪を適量取り除き、再び脂肪が落ちてこないように眼輪筋を補強します。さらにアッカンベー変形がおきないように注意しながら余った皮膚を切り取り、しわをのばしていきます。手術は、入院の必要もなく、1週間後には抜糸をおこないます。腫れは1週間でおおよそ治まりますが、内出血のあとがきれいになるのに2週間程要します。抜糸が終われば、お化粧ができるようになるのでそれほど気にならないはずです。
また、術後2〜3日もすれば洗顔、洗髪もできますので生活にもそれほど支障はおこらないと思います。術後1ヵ月程度で、傷跡はほとんどわからなくなります。手術効果の持続は、年齢、個人差によって変わりますが、30〜40才代では、約10年、50〜60才代では一生ものといわれています。当院での手術料金は、両目で20万円です。
(ほほのたるみについて)
この悩みを解決するにはフェイスリフトしかないでしょう。ほほに対するフェイスリフトは、耳の前から後ろに、これを半周するように切開を入れ、血行に注意しながら皮膚を剥離することから始まります。剥離の範囲は、ほほでは、耳の前から鼻のわきの深いしわのところまで、耳の下では、あごの下まで、耳の裏では、首の上のところ
までと、けっこう広い範囲に及ぶのです。続いて、たるんでしまった余分な脂肪を若干切除し、SMASと呼ばれる膜様組織をつりあげ、効果を高めるようにします。最後に、しわをのばしながら余った皮膚を切除し、ていねいに縫合します。手術は、静脈麻酔と局所麻酔の併用でも行えますが、全身麻酔のほうが楽かもしれません。いずれ、1日入院したほうが安全でしょう。術後5日間は、皮下に血が溜まらないように、腫れが少なく済むように、包帯でグルグル固定されます。抜糸は術後7〜10日で行います
が、包帯が取れる頃には洗髪、洗顔ができるようになります。腫れや内出血のあとも2週間ほどできれいになりますが、抜糸が終わるとお化粧ができるようになるため、外出してもそれほど気にならなくなるでしょう。手術の傷跡がおちつくのには6ヵ月を要しますが、目立たない場所なのでしばらくはがまんしてもらいます。しかし、一度落ち着くと、ほとんどわからなくなります。効果の持続は10年といわれていますが、まったくもとにもどるということはありません。20代に戻れるかどうかは、そのひ
との気持ちの問題かもしれませんが、60代、70代のひとにとってみると、20才は若返る感じがします。さて、腫れが落ち着いたところで、ほほの上部やこめかみの、張りを失ったところに、自分の脂肪(おなか、太股、などから採取)を注入移植すると、より効果が高まります。しかし、脂肪の定着率は50%程度なので、満足するまで2〜3回の注入が必要でしょう。
当院の手術料金は、全身麻酔1日入院で75万円、局所麻酔1日入院で70万円です。尚、追加の脂肪注入は1回につき5万円程度でおこなっています。
(回答者:酒井形成外科 / 酒井 倫明)
|